わがまま科学者日記

純粋に科学のお話をしたい。。

2017年のおすすめ生命科学の本(パート2)

パート1では、遺伝子関係の本が中心でしたが、今回は2冊の「歴史書」の紹介です。歴史の中では、為政者の戦争や政治などに埋もれてしまいがちなのが、民衆のあいだに広がって、国の命運にも影響を与えた感染症と飢饉。こういうものに対して戦ってきた人々…

2017年のおすすめ生命科学の本(パート1)

2018年になりました。明けましておめでとうございます。さて、このブログでは純粋に「科学」について説明するということにしていきたいと思います。 論文紹介などもできたらと思っていますが、取り敢えず、年始ということで、数回にわたって、印象に残った去…

私の留学記(10)サクセスストーリー

禍福はあざなえる縄の如し =================================================== さて、一応、目標であった自分なりの実験系が確立できたので、それを続けるために、日本でポストを探そうということになった。留学して2年ほどしてからである。 私が短期間で…

私の留学記(9)研究の始まり

「流行になっているテーマは誰かが重要にしたのであって、 誰かが重要にしてくれた舞台の上で、一見華やかな踊りをまって いても空しいことではないか。それは良い意味でアンビシャスな 若い研究者のすべきことではない。」 (佐藤了、生化学者) ==========…

私の留学記(8)日本人研究者

あなたが全く知らないと思っているとても偉い先生でも、あなたを知っている可能性があることを、若い人は知っておくべきだと思う。ただ、知っているという「コネ」がポジティブに働くか、ネガティブに働くのかはわからない。 ==============================…

私の留学記(7)神経の発生

"Our real teacher has been and still is the embryo, who is, incidentally, the only teacher who is always right." Viktor Hamburger ====================================================== 私は日本で活躍することはできなかったが、日本の神経発生…

私の留学記(6)食べものと研究

日本の研究者は、米国の教育システムなどについて、知っているようで知らないことが多い。研究留学を考えたら、そういうこともある程度は知っておいた方がよいと思う。 ================================================ セントルイスのワシントン大学Washi…

私の留学記(5)学会とミーティング

「何をすればよいかということはどうすれば分るのでしょうか。それは一流を見ることです。一流の人に接すること、一流の人の下で働くこと、そのために広い世界を動くことです。」 (岸本忠三、免疫学者) ========================================= 私は、…

私の留学記(4)センチュウ

成功より、失敗に学ぶことが大切だ。 ===================================== さて、Goodman研で神経筋シナプス回路形成の特異性に関わる接着分子として見つかったというハエの遺伝子ConnectinとTollの哺乳類ホモログを探すことになった。 このような場合、…

私の留学記(3)ハエ

昔と今を比べることで、昔の問題が何だったのか?そして今の問題が何なのか? そして、最終的に失敗者となる私がどのように失敗者となっていったのか、その原因を理解し、未来ある若い人たちに、そしてリーダーたちに考えて欲しい。 =======================…

私の留学記(2)竹市先生

なぜセントルイスのワシントン大学で研究をすることになったのか。そのことを書いてみたい。名古屋大学理学部化学科の生物化学教室では、複合糖質の研究をしていた。この物質の研究に関わることになったきっかけについては、別の機会に譲ることにするが、私…

私の留学記(1)セントルイスに降り立って

米国に来て長く経つ。そこで、私の米国での研究生活を振り返るのも悪くなかろう、ということで初心に帰るつもりでそんな文章を書いてみようと思う。多分、50回くらいのシリーズになりそうだ。 ======================================================== 199…