わがまま科学者日記

純粋に科学のお話をしたい。。

基礎からの神経科学(その1)電気現象

科学分野の人ですと、「ファインマンの物理」を読んだことがあると思います。非常に初歩的なところから、本質をわかりやすく説明して、高いレベルにまで到達できるようになるような基礎知識を与えてくれる本でした。英語でも学べますが、深く考えることがで…

杜撰な科学

こちらのブログは、純粋に科学を語るということを目的としています。数年前ですが、日経バイオテクへの寄稿の中で、「バッドデータ」問題というのを話題にしたことがありました。 「科学研究では、学術論文発表前の学会発表、発表された論文、あるいは蓄積さ…

注意したい神経科学ツール

今回は、神経科学の研究で広く使われているツール、試薬について、その使用に注意を求めている最近の論文を紹介します。 (1)AAV9は高力価で使うと毒性があるSevere toxicity in nonhuman primates and piglets following high-dose intravenous administr…

基礎からの神経科学(序)高校の生物から始める

基礎からの神経科学として、何回かのシリーズで、最先端の神経科学をもっと理解できるようになるための知識を身につけるための本などを紹介してみたいと思います。 純粋に神経科学を勉強して、ちまたの自称「脳科学者」の話や「脳神話」に惑わされないために…

日本のMangaで学ぶ生物学

ハーバードのThe Coop(生協)の書店では、少しばかりマンガも売られています(地下です)。でも、1階の多くの科学関係専門書の中に混じって、この本も置かれています。3冊も。。Bruce AlbertsのMolecular Biology of the Cellは、1冊しか置かれていません…

新刊洋書:科学技術バズワードの本

バズワードというのは、「人に関心を持ってもらうため、もっともらしい説明が付けられた専門用語のこと(コトバンクより)」らしい。そういうのは沢山あります。実はよく知らないので、もっと深く勉強してみたいということがあると思います。日本ですと、新…

2017年のおすすめ生命科学の本(パート5)

2017年の生命科学関係の本を紹介してきましたが、このシリーズは今回でお終いです。最後は、キャリア関係のものです。 この本は、2016年夏に出版されたものですが、去年、私が研究している建物の玄関のところで紹介されていて知った本です。 Women in Scienc…

2017年のおすすめ生命科学の本(パート4)

今回は、ハーバード大学のThe COOP(生協)の書店の入り口のところに、沢山積み上げられていた神経科学(?)関係の本を中心に紹介します(写真)。 TheCoop - The Harvard / MIT Cooperative Society Store. (1)ヒトの行動生物学 まず、最初の本は、この…

2017年のおすすめ生命科学の本(パート3)

今回と次回は、「神経科学」「脳科学」関係の本を紹介したいと思います。 日本では、脳科学というと、テレビ番組によく出演している自称「脳科学者」の書いた本がよく売れているようです。拙ブログは、純粋な科学を語ることにしているので、こうした書物につ…

2017年のおすすめ生命科学の本(パート2)

パート1では、遺伝子関係の本が中心でしたが、今回は2冊の「歴史書」の紹介です。歴史の中では、為政者の戦争や政治などに埋もれてしまいがちなのが、民衆のあいだに広がって、国の命運にも影響を与えた感染症と飢饉。こういうものに対して戦ってきた人々…

2017年のおすすめ生命科学の本(パート1)

2018年になりました。明けましておめでとうございます。さて、このブログでは純粋に「科学」について説明するということにしていきたいと思います。 論文紹介などもできたらと思っていますが、取り敢えず、年始ということで、数回にわたって、印象に残った去…

私の留学記(10)サクセスストーリー

禍福はあざなえる縄の如し =================================================== さて、一応、目標であった自分なりの実験系が確立できたので、それを続けるために、日本でポストを探そうということになった。留学して2年ほどしてからである。 私が短期間で…

私の留学記(9)研究の始まり

「流行になっているテーマは誰かが重要にしたのであって、 誰かが重要にしてくれた舞台の上で、一見華やかな踊りをまって いても空しいことではないか。それは良い意味でアンビシャスな 若い研究者のすべきことではない。」 (佐藤了、生化学者) ==========…

私の留学記(8)日本人研究者

あなたが全く知らないと思っているとても偉い先生でも、あなたを知っている可能性があることを、若い人は知っておくべきだと思う。ただ、知っているという「コネ」がポジティブに働くか、ネガティブに働くのかはわからない。 ==============================…

私の留学記(7)神経の発生

"Our real teacher has been and still is the embryo, who is, incidentally, the only teacher who is always right." Viktor Hamburger ====================================================== 私は日本で活躍することはできなかったが、日本の神経発生…