わがまま科学者日記

純粋に科学のお話をしたい。。

2017年のおすすめ生命科学の本(パート4)

今回は、ハーバード大学のThe COOP(生協)の書店の入り口のところに、沢山積み上げられていた神経科学(?)関係の本を中心に紹介します(写真)。

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TheCoop - The Harvard / MIT Cooperative Society Store.

(1)ヒトの行動生物学

まず、最初の本は、この本。スタンフォード大学の神経科学者Sapolsky教授が、ヒトの行動生物学について私見を含めて説明しています。

Behave: The Biology of Humans at Our Best and Worst  2017/5/25 

Robert M Sapolsky (ハードカバー(左)とペーパーバック(右))

 

 

Sapolsky氏の講義は、ここで見ることができます。

Human Behavioral Biology (Robert Sapolsky) 25 lectures

 

www.youtube.com

 

Sapolsky氏の著者サイト。 

www.robertsapolskyrocks.com

 

(2)人工知能

Life 3.0: Being Human in the Age of Artificial Intelligence 2017/8/29 Max Tegmark

宇宙論が専門であるMITの理論物理学者マックス・テグマーク氏が、今ホットな人工知能とヒトとの関係について語っています。理論物理学者が、AIについて説明している未来予言書みたいなものでしょう。

 

テグマーク氏が話すのは、ビデオの1/3くらいのところから。

www.youtube.com

2017年は、神経科学畑出身のデミス・ハサビス氏が、Neuron誌に「Neuroscience-Inspired Artificial Intelligence」という総説を発表して話題になりましたが、こういう異分野出身の人たちが、堂々と参入、活躍し、語る。そういう文化が日本のにも必要ではないでしょうか。

 

(3)意識

Other Minds: The Octopus and the Evolution of Intelligent Life ペーパーバック – 2018/1/22 Peter Godfrey-Smith (著)

この本は、ハードカバーの時には、こういうタイトルだったのですが、ペーパーバックになって、上のようなタイトルに変わっています。

Other Minds: The Octopus, the Sea, and the Deep Origins of Consciousness

Oct 17, 2017
タコの神経生物学を通じて、知性、意識の起源について考えるというものです。

著者のウェッブサイト。米国の本を書く人は、ドットcomドメインのホームページを持っておられて、いろいろ説明してくれるので楽しいです。

Peter Godfrey-Smith

 

こんな本も気になりました。ペーパーバック版が売り出されているということは、ハードカバーのものが売れたのでしょうね。私はまだ未読です。

From Bacteria to Bach and Back: The Evolution of Minds ペーパーバック – 2018/1/25 Daniel C. Dennett (著)

 

一番上のハーバード生協の書店の写真では、「The Hidden Life of Trees」が一緒に写っていますが、この本は私は少し内容が薄いと感じましたが、よく売れているようです。「The Hidden Life of Trees」と同じ著者による動物版の本が新刊となっています。私も今月分のAudibleのクレジットが付いたら、購入してみようと思っています。

The Inner Life of Animals: Love, Grief, and Compassion: Surprising Observations of a Hidden World ハードカバー – 2017/11/7 Peter Wohlleben (著)

 

 (4)考えるヒトの歴史

 日本でもベストセラーになっている「サピエンス全史」の著者であるユヴァル・ノア・ハラリ氏の新作「Homo Deus」。ただ、「サピエンス全史」に較べて、自己主張が強すぎて期待外れだという感想も多いです。私もそう感じました。

Homo Deus: A Brief History of Tomorrow

 「サピエンス全史」は、必読の書でしょう。

 

 (5)日本語の本

最後に、私は読んでいませんが、日本の神経科学者の界隈で話題になっていた本をいくつか紹介しておきます。いつものように、ガラパゴスものか、そうでないのか、それはわかりませんが、日本のなかでは良書ということなのだと思います。最初の本は、スタンフォード大学の先生が書いた教科書の邦訳で、一度原本を見てみたいのですが、ボストンでは見つけることができません。