わがまま科学者日記

純粋に科学のお話をしたい。。

基礎からの神経科学(序)高校の生物から始める

基礎からの神経科学として、何回かのシリーズで、最先端の神経科学をもっと理解できるようになるための知識を身につけるための本などを紹介してみたいと思います。

 

純粋に神経科学を勉強して、ちまたの自称「脳科学者」の話や「脳神話」に惑わされないためには、やはり基礎知識を持ち、科学的な方法や科学についての考え方をしっかりと身につける必要があると思います。結局、サイエンスコミュニケーションがうまくいかない問題、日本のメディアの科学記事のレベルが低い問題、一般の人と科学者の間のギャップというのは、ここに原因があると私はみています。

 

そこで今回は、序章として、私が別の事情で調査してきた高校の生物について、受験生の間ではバイブルのように言われている評価の高い参考書を紹介したいと思います。こんなところから紹介し始めると、いまさらとあきれる方も多いと思いますが、科学の方法論などにも触れつつ、何回か後には神経科学最先端レベルに到達すると思いますので、気長におつきあいください。

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昔の高校生物は、生物I, 生物IIとなっていたのですが、今は、生物基礎、生物になっています。まずは、高校生が最初に習う「生物基礎」。遺伝子DNAとは何かとか、そういうのは、恥ずかしがらず、これを読んでいただけばよいのだと思います。日本では、神経科学の本なのに、こんなところから説明しているために、本論の神経科学が薄くなってしまっている本が散見されるのです。

田部の生物基礎をはじめからていねいに (東進ブックス 名人の授業)

– 2014/1/30 田部眞哉 (著)

 

そして、やはり、懐かしの「チャート式」。

チャート式シリーズ 新生物 生物基礎・生物。ちなみに著者は、「鈴木孝仁,本川達雄,鷲谷いづみ」という大学教員の先生方です。

 

難関大学の受験に必須だとされている参考書。最近の高校の生物は、現代的な内容が多く、20-30年前の「生物I, II」とは大違いです。

大森徹の最強講義117講 生物[生物基礎・生物] – 2015/7/8 大森 徹 (著)

 

そして、生物でしたら図録が重要です。写真を見ているだけも楽しいと思います。この本は、毎年のように改訂されているようですので、まもなく新版がでるのでしょうか。

視覚でとらえるフォトサイエンス 生物図録  – 2017/2/1

鈴木 孝仁 (監修), 数研出版編集部 

 

受験するわけではないので、問題集は不要でしょう。いずれにしても、細胞や遺伝子などについての基礎的な知識がまず必要ということになります。そして、化学や物理についても、同じように高校レベルの知識が必要でしょう。

 

これが終わったら、Brain Bee(高校生向けの脳についての知識を競う大会)の資料を参考にしてみてください。

チャレンジBrain Bee! | BSI Youth

上のリンクのなかほどにある「参考書」のところに、「Brain Facts(英語)」とそれを日本語に翻訳したpdfが、無料でダウンロードできるようになっています。Brain Factsは薄い冊子ですが、現在の神経科学について、コンパクトに、しかも読めば読むほど味がでてくる内容になっているので、おすすめです。英語版には、図も付いていますし、神経科学の基本となる英単語を確認するためにも、日本語版だけでなく英語版も必ずダウンロードしてください。

http://www.brainfacts.org