わがまま科学者日記

純粋に科学のお話をしたい。。

パンデミックの中での国際引越(その1)

この12月末で、米国での研究生活をやめて、日本に「無職」で帰国することになったという話を書きました。

今回から、このパンデミック中での国際引越についていろいろ記録しておきたいと思います。


(1)Notaryの文化
このパンデミックで困るのが、大学の事務関係の人が全員WFHになっていて全く大学にいないということです。オンラインで対応はしてくれるのですが、書類の提出もオンラインなら、書類が送られてくるのもオンライン。通常の事務書類ですと、それで済んでしまうので、むしろ楽かもしれません。

しかし、移民や雇用関係の書類の場合、書類に署名するのに、立会人が必要ということがありました。日本ですと、印鑑ということになって、そのために出社しないといけないということが話題になっていました。米国ですと署名になるわけですが、正式の書類の場合、署名の立ち会いNotaryという制度が発達しています。つまり、署名する時に誰かの立ち会いのもとに行って、署名したことを確認するということが必要になるわけです(公式の公証人というのもある)。パンデミック中に私もこれが必要になることがありました。これをオンラインでやったわけです。事務の人とオンラインで、私の隣にラボのメンバーに立ち会ってもらって、署名、更にその人も署名ということがありました。ソーシャルディスタンスの必要な時に、近寄ったらいけないので、とても奇妙な体験でした。Notaryの文化というのは、印鑑の文化と比べて、もしかしたら厄介なのかもしれません。

 

(2)片付け
私の持っている家具などはとても古いものばかりで、高額で売却というわけにもいきません。でも、アパートを引き払うにはこれらを全部処分しなければいけません。個人での家具の引き継ぎもパンデミック下での衛生(ベッドなど)というのを考えて、非常に躊躇する状態になっています。しかも1つづつ買い手を見つけて、それをアレンジしていくのはとても面倒です(私の場合、精神的にも時間的にもすべてが面倒になっている)。こういう場合、普通の時ですと、Salvation Armyに寄付するという手があると聞いていました。しかも、無料で取りに来てくれると。。ところが、現在、パンデミックでこういうことが完全に停まっています。

そこで頼んだのが、Junk Removalというサービスでした。お金を払って処分してもらうのです。車で来て、全部、処分してくれました。

ラボの方も、長年のゴミのような試料がたくさん貯まっていました。あまりに量が多いので、Biohazardの容器をいくつも利用しないといけなかった。しかも、ホリデーシーズンということでなかなかピックアップしてくれない。処分に時間がかかりました。

これまでは国際郵便の船便で荷物を送っていたのですが、今回は日系の引っ越しを利用することにしました。船便で個人で使う小型のパッケージのものです。企業などから赴任されている駐在員の方などですと、こういう引っ越しも気軽にできるのでしょうが、私の場合、とにかくお金がないので、気軽にはできません。荷物を少なくするために、多くの思い出の品をすべて捨てました。コンマリ(Konmari)ではないですが、手に持って「ときめきSpark joy」を感じるものばかり。。でも、ときめいても捨てる。そして、とてもつらい気持ちになったわけです。

 

(3)車と免許
私の持っていた車はとても古いものでした。よく走る日本車で、マイレージも古いわりにそんなに高くないので、まだ使えるものです。まず問い合わせたのが、日本車メーカーの専門ディーラーでした。でも、古いので扱えないと断られました。個人的にいろいろ売りにだせばよいのですが、とにかく手続きが面倒です。車の保有率の高い郊外の方に行けば、中古車専門店というのも多いと思いますが、行くのも帰ってくるのも面倒です。しかし、近くにも中古車専門のところがありました。そちらに持っていって査定後、売却しました。15分くらいで処分することができたし、しかも手続きもTitle(車両の保有証明書)だけ渡して、すべてやってもらえるのでとても楽でした。保険の解約はさすがに自分で行う必要がありますが。。

日本での免許の切り替えのまでの間、車にはおそらく乗ることはないと思います。国際免許証International Driving Permitは米国の運転免許の翻訳みたいなもので、ほとんど意味がないのですが、それでも持っていないと、逆ハンドルへの慣らし運転も全くできないので、一応、国際免許証も取得しておきました。AAAの会員なので、AAAのオフィスまで行って、国際免許証を発行してもらうのです。結構大きなAAAのブランチだったのですが、係の人が国際免許証の作り方を忘れていて、結構時間がかかってしまいました。何でも国際免許証を作るのが2ヶ月ぶりだということでした。パンデミックで確かに海外旅行する人もいないので、そういうことなのだろうと納得しました。

 

(4)歯医者
12月2日のことでした。トレジョーのお菓子を食べようとしたら、奥歯が突然折れてしまいました。デンタルクリニックでの歯のメインテナンスは定期的にやってきたのですが、この春にロックダウンが始まって、その影響でずっと歯科に行くこともできませんでした。しかし、少し痛みもあるし、これから数ヶ月のことを考えると、とてもこのままでよいとは思えない状態でした。大学のデンタルクリニックに電話したら、すぐ見てくれるというので、クリニックに行きました。いつの間にか、場所が変わっていて戸惑いましたが。。おそらく、Endodontistでroot canalをやってもらうということで歯を救えそうな感じでしたが、しかしその後のcrownまで考えると、帰国まで時間がもうないのです。そこで、oral surgeonに行って抜歯するということになりました。米国の場合、歯科の専門性が進んでいて、それぞれ技術力が高いので、私は安心しています。oral surgeonは2度目ですが、やはり技術力が高いです。抜歯後、昔は例のoxycodoneを処方されていたのですが、オピオイドの大問題になっただけあって、今回は痛み止めを全く処方してくれませんでした。抗生物質だけです。痛みの方はOTCのイブプロフェンで対処せよということでした。強い痛みはなかったので、200mgのOTCイブプロフェンを1日3-4錠、3日ほど続けただけで大丈夫でした。時代は変わりました。

Oral surgeryでは、bone implantを入れた方が良いと言われ、何も考えずに、抜歯時にbone implantを入れてもらったのですが、米国のbone implantを引き継げる日本の歯医者さんがいるのか、少し気になっています。