わがまま科学者日記

純粋に科学のお話をしたい。。

研究と対話がしたい2022年

「生物学者は一年のうち1日は深く考え、残り 364日は闇雲に働けばよい。」江橋節郎


2022年になりました

本来なら「あけましておめでとうございます」というところですが、とてもそんな状態ではありません。「生物学者は一年のうち1日は深く考え、残り 364日は闇雲に働けばよい。」という、これまで元旦には毎年のように思い出してきた言葉が、皮肉のように聞こえてしまいます。

 

新型コロナのその後

新型コロナの方は、広げすぎると危険なオミクロン株の広がりなども懸念されますし、デルタ株の方も消えないと社会的には問題でしょう。米国では依然として、多数の感染者と死者がでていて、数字上は全く改善されているようには見えません。2021年の秋くらいには、ハーバードに戻って、実験試料の整理などをしたかったのですが、それもできませんでした。ラボがなくなってしまうと、多くの貴重な試料が失われることになるのでとても残念です。

 

学術活動

さて、2021年には、以下の2つの論文を発表しました。

 

また、Frontiersの編集委員などにもなったりしました。Frontiersの雑誌の方はいろいろな意味で良い印象を持っています。やや捕食的な性格を抱くこともあるのですが、まあ規模を大きくして、安定化していくなかでは仕方ないことなのだろうと理解しています。一方で、MDPI関係の雑誌の方ですが、こちらは日々、「?」な感情を抱くことがあって、やはりとても問題あるパブリッシャーであると感じています。そのうちに、体験してきた問題点をまとめてみたいと思います。こういうのは実際に経験してみないとわからないことです(それを体験してみることが関わることにした目的だった)。学術雑誌もやはり「上品さ」というのは大切だと思います。


学術的なところは、日々、研鑽を積んでいくしかありません。しかし、実験もできないし、コンピュータを使いたくてもスペックが低くて、研究作業が遅々として進みません。研究に使えるハイスペックなコンピュータと高速ネットワークが欲しいです。

 

日本科学振興協会(JAAS、ジャース)

2021年に新たに始めたこととして、日本版AAAS設立委員会の活動があります。

 こちらの方は、日本科学振興協会(JAAS、ジャース)として、12月1日に東京都にNPO法人としての認定を申請し、おそらくこの2月くらいには正式にNPOとなることができると期待しています。こちらの方は、2021年夏に選挙を経て、理事(NPOになる前は候補)になって、その準備に微力ながら関わっています。日本の科学技術の低迷が国家的な問題になっているなか、「日本の科学を元気に」という趣旨には強く賛同しています。また対話の重要性にも大いに賛同しています。まだできていない組織です。一方で、このようなタイプの組織で本当に日本の科学を元気にすることができるのだろうか、という意味で、個人的には疑問を感じていることも事実です。当初、米国のAAAS(雑誌SCIENCEを発行している団体)のようなものを目指すということで関与してきたのですが、何か違うのではないか、という印象です。また、こういうものに関わってしまうと、個人としての意見の表明が逆に抑制的にならざるをえないことも、ストレスがたまるところではあります。

 

2022年は対話の年に

よく誤解があるのですが、私は真のピュアな自然科学に興味があるだけです。流行していることは嫌いで、独自な科学研究を展開したいのです。2021年は、私自身に対するハラスメントが激しく、一方的に攻撃してくるばかりで、対話も拒む人たちが多かったです。そのため、実際に健康状態を改善する意欲が起こらないなど強い希死念慮が続いていました。2022年、このまま生きていけるのでしょうか。

 

幸い、ハーバード大学との関係は、今年も続けていけることになりました。ありがたいことです。日本在住のハーバード大学の人として、しばらくはこのままです。でも、日本では「世界に伍する大学」などという議論が盛んなようですが、おそらく世界に伍している典型的な大学の研究者が日本にいながら、日本の大学では活躍の場がない、というところが、そもそも変ではないか、と思うのです。とにかく対話する姿勢というのが大切だと感じています。

 

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