わがまま科学者日記

純粋に科学のお話をしたい。。

特別編 New Normalでのラボ再開(その18)

 きょうは雨、曇り。土曜日まで気温が高く、湿気も高くなりそうです。

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私のようなバイオ系の研究者の多くというのは、いわゆる「無菌操作」「滅菌操作」というのを日常的にやっています。細胞の培養、大腸菌の培養は滅菌操作で、例えば70%エタノールで器具などを消毒したりします。また、私はウイルスベクターを使いますが、液体を次亜塩素酸ナトリウム(いわゆるブリーチ)で処理して、ウイルスの感染性をなくす。これには、ウイルスベクターの感染性をなくすという意味もありますが、予期せぬ組み換えで生じることがある危険なウイルスを処理するという意味もあります。ヒトやサルの細胞を使うときには、肝炎ウイルスなどの汚染に注意して、取扱いも慎重になります。

更に、PCRの実験などでは、器具などに付着したDNAなどを取り除くために、器具や机を特殊な溶液で拭いたりします。また、RNAを扱う実験では、RNAを分解するRNaseという酵素が、つば、汗などに含まれているため、特殊な溶液で拭いたりする。

つまり、細菌、ウイルス、DNA、酵素(タンパク質)など、目には見えないもので、こういうものを存在するものと想定して、殺したり、除去したりする。こういう操作を日常的にやっているわけです。ですから、こういう作業は得意だと思っています。コロナウイルスについても、同じことで、このような目に見えないものを想定している。ですから、生活するときに、そのような想定ができるのか、作業ができるのか、ということが大切になるのでしょう。

 

さて、ラボでの再開で、顕微鏡をどうするのか、というのが話題になっています。コロナウイルスが目から感染する。結膜炎(白目の充血)が1つの症状として報告されています。顕微鏡は、複数の人が共用するものの1つだと思いますが、使ったらどのように処理したらよいのか。顕微鏡はいわゆる精密機器なので、取扱いも慎重に行う必要があります。

70%エタノールで拭く、使用者はメガネ着用というようなこと以外に何かありますか?

 

US EPAが作っているSARS-CoV-2に効くという消毒剤のリストListNです。

 List N: Disinfectants for Use Against SARS-CoV-2 (COVID-19)

www.epa.gov